本館では、国立東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所所蔵の台湾関連資料を所蔵しています。主に日本統治時代の言語学者浅井恵倫(1895₋1969)が台湾各地で収集した資料で、内訳は、写真2,100枚、レコードを録音したMP3ファイル255点、無声フィルム18本です。音声映像資料は当館のパソコンで閲覧、鑑賞が可能です。
浅井は1930年代に先住民族の言語、歌謡の録音作業を行いました。台湾南部では、嘉義、台南、高雄の山地部を中心とする、ツォウ族、シラヤ族、タイボアン族、ブヌン族、カナカナブ族、ラオロア族、下三社のルカイ族、屏東県霧台のルカイ族等を対象に、また、台湾東部では、アミ族、クバラン族、蘭嶼のタオ族のものが録音されています。また新竹、苗栗一帯のタオカス族、サイシャット族、宜蘭一帯のバサイ族のものもあります。浅井のフィールドワークは、当時伝承が危ぶまれていた言語について行われ、歌謡文化や祭儀方式など、現在では失われたり形が変わっているものも多く、学術的な価値だけではなく先住民族の文化復興にも大きな意味を持っています。