メインのコンテンツブロックにジャンプします

境界の外側・島嶼の内側:現代台湾非公民の物語

  • 開催日:2026-09-15~2027-04-11
境界の外側・島嶼の内側:現代台湾非公民の物語

総論


今日の台湾に「非公民(noncitizens)」はいるでしょうか?「非公民」とは、その国籍が認められない人、あるいは、国籍はあるものの、政治的要因、戦乱、制度面での理由から、元国家の保護を受けられない人のことを指します。

歴史的に見れば、台湾は常に外に開かれてきた自由の島です。16、17世紀に帝国の統制を逃れてこの島に来た流民、無籍者が、従来の先住民社会を変えていきます。その後統治者である清帝国による管理のために、帝国臣民と「化外の民」の間に境界線が引かれます。その後日本、中華民国と政権が交替、台湾人はアイデンティティの転換に直面します。戦後から今日に至るまで、多くの人々が海を渡ってやってきますが、排除された人もいれば、この地に残った人もいます。また残った人の中にも法律や制度の境界線の外側に置かれた人がいました。

本特別展は、メイン会場と通路の展示エリアを利用してその歴史を繋ぎ合わせ、台湾に来たチベット、ミャンマー、香港、ウクライナ等異なる集団の物語を紹介します。身分と居留資格の不確定さには、台湾が世界とつながるうえでの、主流的価値観や普遍的な人権保障の不備が反映されています。台湾は黒か白か、認定か排除で線引きをするものではなく、生活における課題、実践、価値観交錯の中の真実の表現であるべきである、これが本展示に当たり、来館者の皆様にお伝えしたいメッセージです。


一、時代の激流の中の移動:境界線を越える生命の軌跡


「激動の世界で、人々が持っていくのは荷物だけだろうか?」


台湾の歴史は世界情勢と密接に関連しています。この島が一つの交流点であるかのように、チベット、ミャンマー、香港、ウクライナの人々が、冷戦、政変、戦争、迫害といった様々な原因でこの地にやってきました。その移動は個人的な選択にとどまらず、生命や自由、信仰を守るため、未来のために行われた行動でもあります。彼/彼女の移動ルート、記憶、文物をたどりながら、その物語が台湾でどのように紡がれたのかを見つめます。


二、見えない境界


「境界を越えれば、その境界は消失するのだろうか?」


「身分」の境界は、固定されたものではなく、法律制度、国際情勢、国家安全上の判断等によって絶えず新たに画定されるものです。台湾にやってくる多くの人々にとって、境界は入国管理カウンターだけではなく、入国後の短期滞在、居留、永住等の審査まで続きます。同じ台湾にいる非公民でも、審査制度、それに伴う困難は各自異なります。「身分」は法律面だけでなく、一個人が台湾で就労、就学、通院治療の保証を得て、安心して暮らせるかという問題でもあります。パスポート、ビザ、追加資料の通知、記録申請を通じて、制度の中にある境界が浮かび上がってきます。


三、At Home


「あなたにとって、『家』とは?」


「「家」の形態は様々です。「家」が今まさに戦火にさらされている人もいれば、流亡者にとっては、「家」は宗教、文化、アイデンティティの延長でもあります。香港を離れた人々にとって、香港という「家」は今も存在していますが、もう過去とは違った場所になっています。各地から来た人々は、それぞれ「家」の記憶、関心、想像を胸に抱きながら、台湾で出会いました。この地で共に暮らし、助け合う日常の中で、災害が起これば援助の手を差し伸べます。相互の活動、飲食や言語、芸術を通じた交流の中から、新たな関係や連帯が生まれます。もっとも、台湾が安住の地となる人もいれば、その身分が認められず、去るか残るかが未確定の場合もあります。異郷における「家」の答えは簡単ではないのです


四、境界上の終わらぬ旅路


「グローバルな流亡者や移住者が台湾に来た時、私たちはその境界を狭めるべきなのか、それとも関係を広げるべきなのか?」


本展示では、動乱の中で故郷を離れ、越境後にその身分が再定義され、不安の中でも生活に奮闘、互いに助け合う姿が紹介されます。2024年末の時点で、衝突や迫害によって故郷を追われた人々が全世界に1億2990万人いると言われ、越境、移住がグローバルな現実になっています。台湾に来た人も、そこが終着地になるとは限りません。台湾ももはや傍観者ではなく、現実の一部分になっているのです。この物語は本展示の出口では終わらず、現在進行形で続いています。それをどう理解し、受け入れて、応答するのか、それはこの島の未来にも影響することなのです。