「台史博所蔵テーブルゲーム特別展」ゲーム説明書
ゲーム目標
台湾歴史博物館には、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、さらに昔の人が遊んだテーブルゲームを保管する宝箱があるという伝説があります。こうしたゲームはタイムマシンのように、私達を過去に導き、各時代の姿や変遷、その時代、場所における思惟思想を垣間見せてくれます。それぞれのゲームデザインは、ストーリーの違いにとどまりません。何より重要なのは、そこには楽しく笑いあった記憶、家族友人と過ごした素晴らしい時間が込められているのです。
今宝箱のふたが開きます。プレイヤーの皆さん用意はいいですか?お気に入りのゲームを見つけ出してください!
ゲームを楽しむ秘訣
- 大きく目を見開くこと:盤上には何が描かれていますか?神様、動物、飛行機その他諸々。お気に入りは見つかりましたか?
- 仲間を見つけること:一緒に来ているのはお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん?これらのゲームで遊んだことがあるか聞いてみてください。
- 遊び心を持つこと:ゲームの基本は楽しむこと、「大いに」遊んでください!
さあゲームの始まりです!
カタツムリ、貝殻、渦巻銀河、螺旋階段、ねじ、フジッリ等、私たちの周囲は螺旋形にあふれています。テーブルゲームからも、その不思議な形への愛着が見てとれます。ヨーロッパのガチョウゲーム、日本のすごろく等、螺旋状の盤面に様々な要素が加わり、ゲームをより面白くしています。
台湾で遊ばれていたゲームにも、螺旋形をモチーフにしたものがあります。例えば清代に流行した葫蘆問(葫蘆はひょうたんのこと)は、螺旋図上にひょうたん、神様、動植物等縁起のいい図案が描かれ、語呂合わせの言葉に従って、ゴールの神様に向かって進んでいきます。その他にも、日本時代の台北の賑やかな市街を描いたすごろく、戦後の進学制度や人気のアニメキャラクターをプリントした台湾オリジナルゲームもあります。ゲーム紙上に描かれているのは何でしょうか?螺旋状のタイムトンネルをくぐって探してみましょう。
いつの時代にも夢にはトレンドがあります。交通が発達すると観光旅行や世界一周という夢が生まれました。実際に日本時代には世界一周旅行を題材にしたゲームがありました。不動産業や金融業が勃興すると、アメリカではモノポリーや、幸福な人生を夢見るようなゲームが生まれます。こうしたゲームは台湾でも大流行、家族の一大娯楽になりました。
2-1世界一周も夢じゃない
交通手段の発達に伴い、海外旅行も宣教師、ビジネスマン、学者たちだけのものではなくなりました。旅行や世界一周が人々の手が届く夢になったのです。フランスの作家ジュール・ヴェルヌが1873年に書いた名作冒険小説『八十日間世界一周』は、一世を風靡しただけでなく、欧米のテーブルゲーム開発にも大きな影響を与えました。
この風潮は台湾にも波及します。日本時代にはすでに世界一周を題材にしたゲームが登場しています。世界各地の様子を紹介、人々の旅行への憧れを掻き立てました。今日でも世界一周は人々の夢ですが、それにはお金が必要です。旅行資金がたまるまで、まずは行きたいところを選んで、ゲーム上で世界旅行をしてみませんか。
2₋2チャンス!運命!勝ち組
戦後、欧米のテーブルゲームが台湾でも流行します。1930年代のアメリカで生れたモノポリー、1950年代の「幸福人」(Careers)や人生ゲーム等は、1960年代に台湾で中国語版が作られました。
モノポリーは不動産や金融競争をテーマにしたもので、台湾で急速に普及します。テレビゲームが誕生すると、台湾のゲーム会社「大宇資訊(Softstar)」がモノポリーのパソコンゲームを開発、この時代の若者達の共通の記憶になります。Careersや「奮闘人生」のゲーム上に書かれた人々の憧れの生活、レトロな写真を用いたパッケージから、当時の台湾人の生活観がうかがえます。
「運命を変えるチャンス」をつかむ刺激的なルールのゲームは、プレイヤーの地主や勝ち組になる夢を実現してくれます。今日でもこうしたゲームは依然大人気。もしゲームをデザインできるとしたら、あなたはゲーム上にどんな幸福な人生を描きますか?
三国志や戦国時代、エジプト王朝等、歴史をテーマにしたゲームはたくさんありますが、それ以上に、テーブルゲームの発想の源は人々の生活です。今存在するゲームが50年、100年、1000年後、現代の社会を映し出す「歴史」資料となるのです。
こうしたゲームから、当時の人々の世界観が見えてきます。それはまるでゲーム上の歴史の授業のようです。例えば、同じ「陞官図」でも、時代と共にその内容は変わりますし、また歴史教科書に書かれた事件も、テーブルゲームの題材となったのです。
試験問題にテーブルゲームは出てきませんが、その面白さを通じて、人々は歴史の脈動を感じ、ゲームと歴史の物語を学ぶことができます。
3-1子供たちよ、偉くなりなさい
歴史上アジアのある時代、国家では、学問や試験によって、政府で任官、昇進し名声を高めるチャンスがあっ
たため、家庭では子供たちが勉強に追われます。千年以上の歴史を持つ「陞官図」ゲームには、こうした思想が込められています。読書階級の遊びから徐々に普及していき、台湾では清朝時代に大流行しました。
「陞官図」の大きな特色は、紙に細かく書き込まれた官位です。プレイヤーはゲームの中で太傅、総統のような最高位を目指します。ゲームをしながら官位を学べる、さながら偉くなるための必修課程のようです。さらに「陞官図」の書かれる官位は、時代ごとに政府組織の構成に応じて異なります。ゲームの図面が歴史の一部になっているのです。
3-2古いゲームは私の歴史教科書
歴史教科書に出てくる固有名詞が、テーブルゲーム上に出現!古いゲームからは、当時の人々の生活や娯楽の様子がわかるだけでなく、歴史上の重大事件についても学び直すことができます。日本時代、第二次大戦期のゲームを通じて、台湾やアジアにおける日本の領土拡張、政治的プロパガンダを体験できます。戦後の「反攻勝利旗」のような政治的イデオロギー色彩の濃いゲームは、国家間の対立や戦争が盤上で繰り広げられます。
歴史が書かれているのは必ずしも教科書や本だけではありません。ゲームを通じてある時代の世界に入り込み、当時の人々の立場で歴史を知ること、古いゲームは歴史の教科書でもあるのです。
動物の冒険物語は好きですか?アフリカの草原のライオン、ヒョウ、サイ、キリンと一緒に冒険したり、強い肉食動物になって、家族を守るために獲物を捕まえたりしてみましょう。盤上での大冒険に出発しましょう!
いつの時代も、動物はテーブルゲームの人気題材でした。人と動物の関係が盤上に躍ります。動物にまつわる伝説、民族文化から、各地域の動物イメージなどが、ゲームに取り込まれています。ゲームを通じて、古典的な戦略ゲームであるタイガーゲームや闘獣棋等を通じて、私達は動物世界の食物連鎖を学ぶことができます。またおじいちゃん、おばあちゃんの大好きな台湾オリジナルゲーム「ネズミ札」は干支が描かれたカードを使ったもので、動物いっぱいの盤上は可愛く彩り豊か、おとなもこどももたのしめるゲームです。
内緒で遊ぶテーブルゲームですって?そうです、ゲームは金銭をかけた時点で「賭博」になるのです。賭博依存症になると社会秩序にも影響するため、賭博を禁止する政府が一般的です。台湾の民間では、掲示板やアートを用いて「賭博絶対ダメ!」のメッセージを発信していました。そのためこっそり遊んで、お金を賭けない「衛生カード」や「衛生麻雀(日本でいう健康麻雀)」という言葉も生まれました。
内緒で遊ぶ人気のゲームにはどんなものがあるでしょうか?「麻雀」、「十八骰仔」(サイコロゲーム)、「四色牌」、「天九牌」(いずれも中国のカードゲーム)等の流行は100年以上前に始まり、今日にいたるまで、年配の方々の人気を集めています。また、戦後は西洋式のゲームも台湾に伝播、入手しやすく遊び方も様々な「トランプ」は急速に普及しましたし、台湾のゲームデザイナー開発の「天地牌」も色々な遊び方ができます。