建築の特色

当館の建築物は台湾をイメージした「航海」「大魚の姿」「雲壁」「融合」の4つのテーマを中心に設計されています。当館の前に広がる池は人々が渡ってきた台湾海峡を、広場の「雲天広場水舞台」は大魚の姿をかたどったものです。航海の途中、遙か遠くの海上に鯨の背中のような台湾島西南岸の砂州を発見した人々の喜びを表しています。また太陽光発電パネルで作られた「雲壁」は、航海中眼前に広がった希望に満ちた壮大な空をイメージしています。展示教育棟と行政収蔵棟は、漢民族の合院式赤レンガ建築、先住民の高床式建築や石板建築などの要素を取り入れています。空間設計も建築と自然の融合・共生関係を表現しています。
- 雲天広場水舞台このエリアは「大魚の姿」をイメージして設計されました。来場者が当館へ入る時、まるで海と空の境界に浮かぶ小島のように見え、台湾の豊かな地形を感じることができます。この「大魚」とは台湾西部沿岸に形成された一連の砂丘を指しており、台湾海峡を横断して台湾を訪れた人々が最初に目にした「大魚の姿」を表現しています。
- 光電雲壁「光電雲壁」は経済部エネルギー局の補助により設置された国内有数の太陽光発電施設のひとつであり、当館を代表する建築物でもあります。太陽光発電パネル1,350枚とセラミックシルクスクリーンガラス405枚を含む計1,755枚のパネルからなり、当館の英語名「National Museum of Taiwan History」がかたどられています。人々が航海の際に見た壮大な空を象徴すると同時に、当館の電力供給を支えるエコ対応施設として設計されました。
- 行政収蔵棟先住民の高床式建築スタイルに石板建築をイメージした外壁を組み合わせました。事務空間は鋼材と一面のガラスで「虚」を、収蔵庫は厚い石材を使って「実」をイメージし、虚と実の力強い張力を表現しています。異なる素材の活用により空間の対話を実現させ、さらにガラスと格子窓が織りなす光の律動が建物を生命力で満たします。国内初の耐力壁、鉄骨ブレース、三方向プレストレストプレキャスト構材の組み合わせによる建築です。
- 展示教育棟漢民族の四合院式赤レンガ建築のイメージを採用しています。1階は先住民の高床式建築を取り入れ、2階から上にはアトリウムが広がり、奥行きある空間を実現しました。各フロアは外部へ続く空間を多数設けておくことで建物と自然の結びつきを深めています。この棟はプレストレストプレキャスト構造システムを採用し、「打ち放しコンクリート」を積み上げて床板と壁を作っています。台湾の博物館建築技術における新しい手法です。