党外雑誌
「党外雑誌」は、戒厳令時代の独裁体制にメディアの力で挑戦し、人びとの民主政治や本土意識を刺激、台湾民主化の実現に大きく貢献しました。しかし、政府批判を繰り返したため、戒厳期の関連法令に反し、発禁となりました。党外雑誌の起源は、雷震等が1949年に創刊した『自由中国』にまで遡れますが、1960年に雷震が投獄されたことで同誌も廃刊となりました。
しかし、一般的には1975年に創刊された黄信介、康寧祥等による『台湾政論』が、戦後の台湾において初めて台湾のエリートらが創刊した党外雑誌であると言われています。その後『夏潮』、『這一代』シリーズ、『富堡之声』、『長橋』、『八十年代』、『美麗島』、『深耕』シリーズ、『関懐』、『自由時代』シリーズなどが後に続きます。
本館では党外雑誌を3000冊近く所蔵していますが、その多くは、柯蔡阿李(柯旗化蔵書)、金同成、鄧文淵、蘇孟龍、顔伯川、蔡明華らの寄贈によるものです。種類、冊数面から言えば、引き続き収集の段階にありますが、当時の党外運動の息吹をある程度感じることができることでしょう。
張俊宏編集『美麗島』第1~4号(1979、台北市)の表紙。美麗島雑誌社は1979年12月10日の国際人権デーに高雄市で記念活動を開催し、民主と自由を求めました。当局が軍、警察を多数派遣し現場を封鎖したことで、官民の流血衝突を招きました。事件後、警備総司令部は党外関係者を大量に逮捕、軍事審判を行い、美麗島雑誌社と各地の事務所を閉鎖しました。(攝影:張育嘉)
鄭南榕総編集『自由時代』第158号(1987、台北市)の表紙と裏表紙。鄭南榕が1984年に『自由時代』シリーズ(1984年3月12日₋1989年11月11日)を創刊。1986年の民進党結党、1987年の戒厳令解除後も、「言論の自由」を求めて戦い続けました。1989年4月7日、鄭は警察の逮捕を拒み、雑誌社の編集長室で焼身自殺を遂げます。台湾で刑法100条が改正され、思想、学問、言論の自由が保障されるようになったのは、1992年のことです。