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台湾の記憶を保存、未来に向けた所蔵01壓縮

本館では「世界の台史博」のビジョンを立ち上げ、台湾各世代の生活の記憶にまつわる史料を所蔵、台湾史や社会文化変遷の物質的証拠とすることを目指してきました。2000年以降収集した図書文献、器物、ビジュアル資料等の文物史料は計14万件、そのうち35%以上が寄付によるものです。

収蔵に際しては、台湾と世界の繋がり、台湾史発展の軌跡、パブリックヒストリー、常民文化、多元的族群、多元文化等の意義を重要視しています。特徴的な史料をいくつかご紹介すると、16,17世紀の台湾、澎湖、外来者の関係がわかる、『オランダ連合東インド会社の起源と発展』(登録番号:2010.018.0009)、フランス人の視点から見た清仏戦争の記録『1884₋1885年フランス人のフォルモサ遠征』(登録番号:2002.008.0001)、台湾安平の近海生活文化がわかる一本マストの手漕ぎ船(登録番号:2002.008.0001)等、また陳澄波が処刑された際に着ていた長袖シャツ(登録番号:2016.040.0002)は、台湾二二八事件の記憶を今に伝えるものです。その他『南進台湾』のドキュメンタリーフィルム(登録番号:2005.001.0195)は、日本統治期昭和時代の台湾の貴重な映像フィルムです。また台史博が長年収集してきた16ー18世紀の古地図や近現代台湾の各種地図は、本館の一大特色です。

 
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その他、グローバルな趨勢に鑑みて、現代的イシューを考える「現代収蔵」アクションは、三一八公民運動、Covid-19流行等近年の事件史料を収集、一次史料や文物によって現代を記録しています。これも台史博コレクションの特色の一つです。

文物収集では、史料そのものだけでなく、「物」と「人」との関係を重視、「文物」の角度より、「人」の視点から、文物背後の人、人々、社会状況、歴史テーマを解読します。本館史料は「物のストーリー」を用いて「台湾の記憶」を物語っていると言っていいでしょう。

またハード面では、貴重な「台湾の記憶」を保存するため、厳格な所蔵管理制度を制定、標準的な倉庫環境、安全管理だけでなく、近年は電子温度湿度管理システム、予備火災警報システム、物流管理、人流管理等でデジタル機器を導入、資料保全に万全を期しています。また、資料の現地保存の観点から、各界に所蔵技術、知識の普及活動を実施、2017年には保存科学の面でも予算を獲得し、非破壊検査用機材を購入しました。さらに、近現代の材質研究の上では、関連分野との交流、協力を行い、台湾の史料保存、物質文化研究の発展のために努力しています。

 
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同時に、史料活用のために、詳細な文物解説や史料のデジタル化を進めています。同時に、人々が手軽に資料にアクセスできるように、権利関係の調査も進め、全面的な史料公開を目指しています。また、観覧者が実際に展示品に手を触れることができるように、3D技術による展示品複製も行っています。2019年からは、毎年所蔵庫見学イベントを開催、史料がどのように保存、利用されるのか等、知られざる博物館の裏側をご案内しています。

 
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地球環境や気候変動に直面する我々が、いかに時代に合わせてエコな史料保全ができるのか。伝統的な「所蔵」から、民衆参加型、現代社会への参与等、将来的な史料所蔵が向き合う問題です。今後台史博では、上記のような過去の努力を基礎に、史料内容の充実、、デジタル化、権利関係把握、台湾の文物材質研究を進め、台湾に適した史料保存環境を模索していきます。こうした史料の活用を通じて、「台湾の記憶」、台湾文化主体性の確立を目指します。